コラム COLUMN
クレンジングバームOEM/ODMで商品開発
目次
【この記事でわかること】
- クレンジングバームが肌の上でとろけるしくみ
- 溶融充填と冷却が外観や硬さに与える影響
- ジャー容器とチューブ容器を選ぶときの注意点
- OEM・ODMメーカー選びと商品開発の流れ
クレンジングバームは、容器の中では形を保ち、肌に広げるとオイル状へ変化する化粧品です。「とろける感触」をつくるには、ワックスや油剤の組み合わせだけでなく、加温したバルク(内容物)を容器へ充填する温度や、充填後の冷却条件まで考える必要があります。
容器によってバームへ加わる力も異なります。ジャーはすくって使うのに対し、チューブは本体を繰り返し押して取り出すためです。処方、製造工程、容器を別々に決めると、狙った使用感や外観を再現できないことがあります。
ピカソ美化学研究所(以下、当社)は、企画提案型ODMメーカーとして、商品コンセプトの整理から処方、容器を含めた包装資材、試験、製造まで一貫して支援いたします。商品化では、剤型の技術とOEM・ODMメーカーへ相談するときのポイントが判断材料になります。
クレンジングバームの仕組み
クレンジングバームの使い心地は、ワックス、油剤、界面活性剤がつくる剤型の構造から生まれます。容器内で形を保つ硬さと、肌の上でほどけるやわらかさは、どちらか一方だけを高めればよいものではありません。スパチュラで取りやすいか、肌へ伸ばしやすいか、メイクとなじんだ後にすすぎやすいかまで、一連の使用感として設計します。商品コンセプトを処方へ落とし込むには、まず固形からオイル状へ変化するしくみを押さえることが大切です。
油剤を支えるカードハウス構造
ワックスゲルには、板状のワックス結晶が組み合わさり、その内側に油剤を保持するものがあります。この骨格を「カードハウス構造」と呼びます。ワックスの種類や組み合わせによって、バームの硬さや油剤を保持する力が変わるため、配合量だけでなく原料の選び方も重要です。
商品企画では「スパチュラで軽く取れる固さにしたい」等の希望を伺います。希望する使用感を、試作品の評価項目(硬さ、取り出しやすさ、経時の外観変化等)に落とし込み、処方を調整します。
肌の上でほどけるメルティング性
バームを指やスパチュラで取り、肌へ広げると、圧力やせん断によってワックス結晶の骨格が変化し、保持されていた油剤が広がります。肌に触れて温度が上がることも、固形からオイル状へ変わる要素の一つです。この変化をメルティング性として捉えます。
すぐにオイル状へ変化する処方と、厚みを保ちながらゆっくり広がる処方では、使用時の印象が異なります。取り出した直後の固さ、ほどけ始めるタイミング、肌への伸び、メイクとなじむ速さを比べ、ブランドが求める「とろけ方」に近づけます。
メイクなじみとすすぎのバランス
肌へ広がった油剤は油性のメイクとなじみ、界面活性剤は水ですすぐ工程を支えます。メイクとのなじみだけでなく、乳化のしやすさ、すすぎにかかる時間、洗い上がりまで含めて処方を考えます。
試作品を比べる際は、使用量、室温、メイクの種類、なじませる時間をそろえます。同じ条件で評価すれば、ワックスや油剤を見直すのか、界面活性剤の組み合わせを調整するのかを切り分けやすくなります。
溶融充填と冷却で仕上がりはどう変わる?
クレンジングバームは、原料を加温・溶解して流動性を持たせた状態で容器へ充填し、冷却して固形に仕上げます。この製造方法が溶融充填です。試作品で狙った硬さやとろけ方を製造品でも再現するには、処方だけでなく、加温、攪拌、移送、充填、冷却の条件をそろえる必要があります。表面のなめらかさや取り出しやすさも含め、充填後の仕上がりまでを製品仕様として決めることがポイントです。条件を記録しておけば、仕上がりに差が出た際も原因を追いやすくなります。
流動性を保って充填する
溶融充填では、均一に攪拌したバルクを、流動性が保たれている間に容器へ充填します。温度が下がると粘度が上がり、固化が始まるため、処方に合わせて加温温度や移送時間を設定します。
充填量だけでなく、バルクが均一か、充填口で固まりにくいか、容器内に偏りがないかも管理項目です。設備へ流せることを確認したうえで、充填後の外観や硬さを見ます。バルク製造と充填の違いは、化粧品のバルクと製造・充填工程の解説ページをご覧ください。
冷却条件で外観と硬さを整える
充填後のバルクは、冷却によって固化します。冷却速度や温度は、ワックス結晶の状態や固化後の硬さに関わるため、処方と容器に合う条件を設定します。同じ処方でも、冷やし方が変わると仕上がりに差が出ることがあります。
見るのは、表面のなめらかさ、硬さ、ざらつき、ひび、凹凸、離油の有無です。変化が見られた場合は、冷却だけを原因と決めず、処方、充填温度、容器、冷却時間の記録を照らし合わせます。こうした工程管理が、狙った使用感と外観を製造品で再現するための土台になります。
ジャーとチューブ、どちらを選ぶ?
クレンジングバームの容器には、ジャーやチューブなどの選択肢があります。見た目や携帯性だけでなく、バームをどのように取り出すかまで考えて選ぶことが大切です。ジャーは上からすくうため、表面の仕上がりや取り出しやすさが使用感に直結します。チューブは側面から繰り返し押す力が加わるため、押し出しやすさと保存中の安定性を評価します。処方と容器の組み合わせは、包装資材のデザインを確定する前に試す必要があります。
ジャー容器で見るポイント
ジャー容器は口が広く、指やスパチュラで使う量を調整しやすい形状です。バームの表面や固形の質感を見せやすいため、容器を開けたときの印象も商品価値になります。
試作品では、取り出すときに必要な力、一回に取れる量、使用後の表面、保存中の硬さや離油を見ます。浴室で使う商品であれば、水分が入る場面も想定し、スパチュラの保管方法や使用及び保管上の注意も検討します。
チューブ容器で見るポイント
チューブ容器は、バルクへ直接触れずに取り出しやすく、携帯しやすい点が特徴です。一方で、繰り返し押す力がワックス結晶の骨格へ加わるため、容器内での安定性と押し出しやすさを両立させなければなりません。
一回に出る量、押すときに必要な力、口部での詰まり、繰り返し使用した後の外観や離油を見ます。チューブの材質、形状、口部、キャップによって結果が変わるため、採用候補ごとに適合性を試験します。
ジャーとチューブ選びで見るべき点は次のとおりです。
| 容器 | 商品企画で活かせる点 | 主な確認項目 |
|---|---|---|
| ジャー | 固形の質感や表面を見せやすい | 取り出す力、表面、硬さ、離油 |
| チューブ | 直接触れずに使いやすく、携帯しやすい | 押し出し量、口部、繰り返し使用後の状態 |
OEM/ODMメーカー選びのポイント
クレンジングバームの商品化では、希望する成分を配合できるかだけでなく、溶融充填と冷却に対応できる設備、容器との適合性を調べる試験、希望数量を製造できる体制が必要です。OEMではブランド側が設計した処方や製品仕様をもとに製造を委託します。ODMではODMメーカーの提案処方を土台に、使用感や容器、表示まで組み立てます。どこまで提案を求めるかを整理したうえで、自社の企画に合うメーカーを選びましょう。相談前に、比較する項目を決めておくことも大切です。
処方と製造工程を一緒に検討できるか
クレンジングバームは、処方が決まればそのまま製造できるとは限りません。試作時の硬さやとろけ方を製造品で再現するには、溶融充填と冷却の条件も処方と合わせて検討する必要があります。
メーカーを選ぶ際は、ワックスや油剤の提案だけでなく、充填温度、冷却方法、容器との組み合わせまで相談できるかを比較します。処方開発と製造現場が連携できる体制であれば、試作と製造品の差が生じたときも原因を追いやすくなります。
試作と容器適合性の確認ができるか
試作品では、硬さ、ほどけ方、メイクとのなじみ、すすぎ、洗い上がりを比べます。希望する成分を加える場合は、分散状態や保存後の外観も見ます。
容器候補が決まったら、充填適性、容器適合性、安定性を試験します。ジャーとチューブでは評価項目が異なるため、採用する容器で試せるかが大切です。処方と包装資材を並行して検討できるメーカーを選ぶと、製造前の手戻りを抑えやすくなります。
希望数量と包装仕様に対応できるか
初回ロットと継続時の希望数量は、打ち合わせの初期に伝えます。必要な設備や製造拠点、包装資材の調達方法が変わるためです。大ロットを検討する場合は、バルク製造から充填、冷却、包装までの能力を見極めます。
容器や化粧箱を一から設計する前に、メーカーが提案できる包装資材と条件を把握しましょう。販売チャネル、価格帯、発売時期も共有すると、処方と包装仕様を現実的な製造計画へまとめやすくなります。
クレンジングバーム開発の流れ
企画提案型ODMでは、商品コンセプトを伺い、処方、容器を含めた包装資材、表示、試験、製造条件へ落とし込みます。クレンジングバームでは、ターゲットや価格帯に加え、落としたいメイク、求める厚みやとろけ方、すすぎ、洗い上がり、希望容器、数量を最初に共有することが大切です。条件をすべて決めておく必要はありません。譲れない条件と調整できる条件を分けると、試作で優先して見る点が明確になります。開発の順序は次のとおりです。
1.ヒアリングと処方提案
打ち合わせでは、ターゲット、価格帯、販売チャネル、訴求ポイント、希望数量・初回ロット、発売時期を伺います。あわせて、使用場面、落としたいメイク、香り、容器の希望を整理します。
伺った内容をもとに、当社が処方の方向性と包装資材の候補をご提案いたします。カードハウス構造やメルティング性を踏まえ、商品コンセプトを試作品で比較できる条件へ置き換えます。
2.試作と各種試験
試作品ができたら、硬さ、取り出しやすさ、肌でのほどけ方、メイクとのなじみ、すすぎ、洗い上がりを評価します。条件をそろえ、次の試作で変える点を決めます。
処方と容器の候補がそろった後は、安定性、容器適合性、充填適性を試験します。試験項目は、処方、容器、販売地域などの製品仕様に応じて設定します。
3.包装・表示・製造
処方が決定したら、容器を含めた包装資材、表示内容、デザイン、製造条件を確定します。販売名、全成分表示、使用及び保管上の注意などは、薬事・表示担当者が精査します。
製造工程では、確定した仕様に沿ってバルク製造、充填、冷却、包装、品質検査を進めます。品質検査に合格した製品のみが出荷・納品されます。当社は発売後も、製造記録とお客さまから寄せられた内容を照合し、次回製造やシリーズ製品の検討を支援いたします。
タイ工場を活用した製造体制
クレンジングバームの製造では、処方や容器だけでなく、希望数量や包装仕様、販売地域に応じて製造拠点を検討することも大切です。当社では、国内の製造体制に加え、タイ工場のクレンジングバーム専用ラインを活用した製造スキームもご提案しています。
専用ラインで充填から冷却まで行う
タイ工場には、加温・溶解したバルクをジャー容器へ充填し、冷却・固化まで行うクレンジングバーム専用ラインがあります。充填後は冷却トンネル内を約30分かけて進めながら冷やし固め、バームの外観や硬さを整えます。
設備の概要や導入経緯は、海外工場を活用した化粧品OEM・ODMの製造スキームに関する資料でご覧いただけます。
Made in Japan・Made in Thailandの製造スキーム
当社では、製品仕様や希望数量、販売地域、物流条件に応じて、国内外の製造拠点を組み合わせたスキームを検討しています。
日本で製造したバルクをタイ工場へ送り、現地で充填・包装した後、日本へ戻す「Made in Japan」の製造スキームでは、日本製バルクとタイ工場の専用ライン、現地で調達した包装資材を組み合わせます。
一方、販売地域や製造数量、コスト、物流条件によっては、タイでバルクの製造から充填・包装まで行う「Made in Thailand」への切り替えも選択肢になります。
処方、容器、包装仕様、販売計画を確認し、それぞれの条件に合う製造方法を検討いたします。原産国表示などの必要事項も、製造工程や販売地域に応じて確認します。
数量や仕様に応じて製造拠点を検討する
製造数量が多い場合は、充填能力だけでなく、バルク製造、包装資材の調達、冷却、包装、輸送まで含めて考える必要があります。希望数量や発売時期を伺い、国内外の製造体制から適した方法を検討いたします。
クレンジングバームの商品化を検討されている方へ
当社は、クレンジングバームに求められる「メイクとなじむ洗浄力」と「肌の上でとろける心地よい使用感」を両立しながら、油特有のべたつき感、毛穴まわりの汚れ落ちといった従来の課題にも配慮した処方を複数所持しております。
そのほか、保湿バーム・リップバーム・美容液バーム・スタイリングバーム・フレグランスバームなど、溶融充填技術を活用したバーム製品も製造実績があります。クレンジングバームの豊富なノウハウと、高度な生産ラインを持った企画提案型ODMとして、当社が企画から量産まで一貫してサポートします。まだコンセプトが曖昧な段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
