国際商業9月号にインタビュー記事が掲載されました
弊社代表のインタビューが国際商業9月号に掲載されました。
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ピカソ美化学研究所
顧客接点の拡大と生産基盤の高度化で成長を狙う
福岡で自社イベントを初開催
ピカソ美化学研究所が、新市場の開拓に動き出した。
その一手が、福岡で初開催した独自展示会だ。
東京や大阪の大型展示会では接点を持ちにくい地域企業の元へ自ら出向き、対話を通じて案件を掘り起こす。「創意工夫」を社是とし、売れる商品を顧客と共につくる同社の姿勢を象徴する取り組みだ。
現在、国内の化粧品市場では、事業者の中規模化と商品の単品ヒット化が進んでいる。大手企業の成長に伴い、シリーズ商品を長期・大量に供給する従来の構図は崩れ、商品寿命も短期化した。OEM・ODMメーカーが安定受注を確保するには、幅広い顧客と接点を持ち、提案を重ねる必要がある。
そうしたなか同社が重点地域に捉えたのが福岡だ。通販・EC系の化粧品企業が集積する一方、九州には大規模展示会が少なく、関東・関西の会場まで足を運べる担当者も限られる。
新たな顧客と出会うには、自ら市場に入り込む必要があった。八木伸夫社長は「新大阪の本社から博多までは新幹線で約2時間半。機動的に通える」と強みを語る。
そこで7月、福岡市内で展示会と講演会を組み合わせた独自イベントを開催した。協力会社や原料メーカーとも連携し、地元の通販企業を中心に約100人が来場。最新処方や製品の展示に加え、外部講師による市場・原料動向の講演も行い、技術と企画の両面から商品開発担当者との接点を広げた。
中でも注目を集めたのが、7包ブリスターやヘアカラートリートメントの繰り出し式スティックなど、特徴ある剤形や包材だ。八木社長は「特に7包ブリスターは全国的に好評で、設備も1台から早期に2台体制へ増強した」と手応えを語る。しかし、展示会はあくまで商談の起点。会場では関心商品をアンケートで把握し、その後、営業がサンプルを携えて個別提案へつなげる。「福岡にはまだ接点を持てていない企業が多く、開拓余地は大きい」と、八木社長は今後も同様の活動を継続する考えだ。
グローバル体制の加速
こうした営業力の重要性は、海外市場でも変わらない。同社はタイのバンコク工場を製造拠点にとどまらず、現地市場を開拓する営業拠点として強化。工場内に5~6人規模の営業チームを設け、タイ企業に対するOEM・ODM営業を展開している。個人の成果を明確に評価する仕組みも導入し、現地スタッフが主体的に案件獲得へ動く体制を整えた。
海外では、展示会で一度接点を持つだけでは案件化しにくい。距離があるほど、その後のきめ細かなフォローが難しくなるためだ。タイでは現地営業が継続的に顧客を訪問し、ニーズを聞き取りながら案件を育成。求められる使用感やコンセプト、価格、容器を見極め、日本とタイ双方の技術・生産設備を組み合わせて提案する。
ピカソ美化学研究所は、タイのほか中国・上海にも拠点をもつ。これらの海外拠点を足場に、ベトナムやインドネシアを含むアジア市場にも引き続き注力する。ASEANでは、スマートフォンを起点としたECやライブコマース、KOL活用など、中国市場で発展した販売モデルが広がりつつある。中国市場で培った知見を生かし、各国のニーズを見極めながら受注機会を的確に捉えていく考えだ。
人材面でもグローバル化が進む。同社は約10年前から国内の生産現場で外国人技能実習生を受け入れてきた。従来はタイ人が中心だったが、2025年からはラオス人の採用も開始。八木社長は、「海外就労への意欲が高く、日本語を学んで来日する。タイ語もある程度通じるため、既存のタイ人スタッフとも連携しやすい」と評価づる。
さらに、タイ工場で経験を積んだ従業員を企業内転勤で日本へ配置する取り組みも進む。バルク製造や充填・包装管理の技能を持つ人材を2~3年単位で受け入れ、グループ内で技術を循環させることで、外国人材を単なる労働力ではなく、海外拠点と国内工場をつなぐ中核人材として育成する考えだ。
こうした豊富な人材を育成する一方、AIと自動化による省人化も進める。研究・営業部門の全社員に生成AIのアカウントを付与し、翻訳や情報集約、要約に活用。今後は版下確認や社内問い合わせ対応など、実務への展開を広げる。本格導入はこれからだが、活用余地を探っている。
狙いは、定型業務や情報整理を効率化し、営業は顧客へのヒアリングと提案に、研究員は処方の完成度や使用感の追求に注力することだ。人員規模ではなく、付加価値を生む人材の比率を高め、成果に応じて処遇する組織への転換を目指す。
この考え方を体現するのが、2026年1月に着工した長野県の駒ヶ根の新工場である。同工場では、生産工程の自動化と効率化を前提に設備を設計し、限られた人数で高い生産性を確保することを目指す。同時に、西日本に集中していた生産拠点を分散し、南海トラフ地震などの災害が発生した場合でも供給を継続する役割を担う。八木社長は、災害の有無にかかわらず「100%の供給を全うし、顧客の販売チャンスを逃さないことが使命」と力を込める。
ピカソ美化学研究所の根底にあるのは、顧客の近くでニーズを捉え、必要な商品を顧客が望む最適なタイミングで確実に届けるという一貫した考え方である。営業、研究、人材、生産を連動させ、市場の変化に素早く応える。顧客に会い続ける地道な活動と、次代を見据えた生産基盤への投資を両輪に、国内外で新たな成長機会を切り開こうとしている。
出典:国際商業2026年9月号(許可を得て掲載しております)

